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2008.07.22 町田エクステリア日記
「大沢本」として存在は知られながら70年近く行方不明だった「源氏物語」全巻の写本が個人宅に所蔵されていたことが分かった。所有者の調査依頼を受けた国文学研究資料館の伊井春樹館長が大沢本と確認し、21日に大阪府立大で開かれた講演会で発表した。中には鎌倉中期の写しと推測される古い巻もあるといい、伊井さんは「重要文化財級の貴重な資料」としている。 大沢本は、大沢という人物が豊臣秀吉より拝領したと伝えられ、明治以降度々の鑑定を受けたが、太平洋戦争前後にこつ然と姿を消した。 大沢本を最初に鑑定したのは、明治期の古典研究家、小杉※邨(すぎむら)。小杉の覚書「鑑定雑記」を調べている伊井さんは、1907年11月に「大沢氏の子孫が持ち込んだ『源氏』写本を鑑定」という記述を発見し、かねて興味を抱いていた。また、源氏学者の池田亀鑑は40年ごろに大沢氏蔵の写本を見たが「十分な調査が出来ないまま、大戦をはさんで行方不明になった」と書き残している。今回、「源氏」本文と共に小杉らの鑑定書も見つかり、「鑑定雑記」の記述と一致することから大沢本と認められた。 大沢本は全54帖がそろっているが、一度に写されたものではなく、不足分をかき集めた「取り合わせ本」。鎌倉中期の写本も含め、室町末期に体裁が整えられたらしい。 「源氏」は原典が残っておらず、写本には藤原定家校訂の「青表紙本」、「河内本」の2系統と、どちらにも属さない「別本」がある。大沢本は約半数を別本が占め、例えば「夕霧」巻の末尾は「なにはの浦に」となっているが、この文言が付いた本文は、ほかに例がない。「詳細な研究はこれからだが、流布している『源氏』とは違う世界が見えてくるかもしれない」と伊井さんは期待する。現在の所有者は、大沢氏とは無縁の個人。現段階で公開の予定はない。 異本に詳しい加藤洋介・大阪大准教授は「『源氏』が記録に現れて千年たつのを機に、写本の存在が相次いで確認されているのは喜ばしい。大沢本は質量ともに、近年まれに見る出物。室町期にどんな系統の本が読まれていたかを推測する手がかりになる」と話している。
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